「ＧｏＴｏ　トラベル」が始まったものの、旅行気分は今一つ――という人も多いだろうが、「カブ」（本田技研工業製のオートバイ）愛好者らによる「日本一周たすき旅」と題したオートバイリレーが５日、八潮市からスタートした。日本を東西南北の４ルートに分けて、ライダーたちが、たすきと特製Ｔシャツを繋いで走る企画。同市大瀬の愛好者の発案で、ＳＮＳで次のライダーを見つけて走る「行き当たりばったり」なユニークなもの。「すべてライダー任せ。知らない人同士が繋がり、絆を深めながらコロナ禍の旅を成功させたい」と関係者らは張り切っている。

ユニークなイベントを企画したのは、同市大瀬で喫茶店兼ライダーズハウス「はらっぱ」を経営する野澤高明（54）さん。公務員を辞め、２年半ほど前に開店した。

ライダーの口コミで店舗情報が広がり、店には自然にライダーたちが集まるようになった。そんな中、

コロナ禍で遠出ができなくても、何か楽しめることはないかと模索する中、自身もカブ愛好者だったことから、カブ走行での日本一周を思いついた。

1人のライダーが日本を一周するのではなく、駅伝のように次々にライダーがたすきを次走者に渡していけば、とても楽しいイベントになる、と交流のある専門誌「単車倶楽部」編集部に働きかけたところ、協賛を得て、たすきと日本を回るＴシャツを寄付してもらった。

ライダーはＳＮＳ「フェイスブック」を活用して、たすきとＴシャツを渡す次走者を探しながら走る。「日本一周襷（ルビ・たすき）旅（カブ編）」で検索すると、比較的簡単に次走者を見つけることができる。
たすき、黄色い地に青い文字で「日本一周襷旅２０２０」と書かれ、Ｔシャツには「単車倶楽部」のマークと、カブに乗ったアマビエ（豊作や疫病を予言したという妖怪）のイラストが描かれている。また、Ｔシャツには日本一周の証しとして、日時や場所、出発時間、ライダー名を記載する。ライダーは基本的に自身の住むエリア中心に走り、次走者をうまく見つけられない場合は迂回（ルビ・うかい）したり、ルートを戻ったりする。
22日現在、北ルートは浦和市、川越市、宇都宮市で中継され、霞ケ浦方面に向かい、東側に向かうルートになっている。東ルートは栃木市を中心に広がる渡良瀬遊水地で中継された後に北上し、道の駅「下野（ルビ・しもつけ）」で中継され、北側に向かうルートとなっている。
一方、西ルートとして出発したルートは東京都南青山のホンダ本社ビル前で中継後、神奈川県方面に南下。川崎市の多摩川スピードウェイ跡地で中継後、逗子開成中学校・高校前で中継され、南側に向かうルートに変わった。南ルートは東京都の水元公園、千葉県市川市の道の駅で中継されたが、四街道方面に向かい、上尾市で中継されて西ルートに変わっている。
同イベントのフェイスブックの反響は大きく、「このエリアなら走れます」といった書き込みが続々と寄せられているという。企画した野澤さんは「こんな時期だからこそ、多くの人に参加していただいて、絆を繋げたい。たすきとＴシャツが戻ってくる日を楽しみにしている」と笑顔で話している。